<プロローグ>
雪の降る中、幼いクララは雪と戯れ遊んでいました。母親がクララを探しに来ましたが、クララは母親の呼ぶ声を鬼ごっこと思い、うれしそうに走ったり隠れたりしていました。徐々に雪が激しくなってきました。やがて母にはクララの姿が見えなくなってしまいました。幼いクララは疲れて、雪の中で眠ってしまいました。
しばらくすると、家路を急ぐ子沢山のハツカネズミのお母さんが通りかかり、クララを見つけ、「このままではこの子は死んでしまうかもしれない。」と、ハツカネズミの家へ連れて帰りました。
<クリスマスパーティ>
月日は経ちました。
今日は12月24日、ハツカネズミの一家のクリスマスパーティが始まります。
子沢山のハツカネズミのお母さんはクララを自分の子供と同じように愛情を持って育てています。
たくさんの妹たちはクララのことをヒゲのない変な顔で、しっぽがない、なんだか変なお姉さんと思っていますが、クララは誰にでも優しいので妹達から好かれています。
でも、美しいハツカネズミの姉のルイーゼは、変な顔で、しっぽがないくせにみんなに好かれているクララが大嫌いです。ハツカネズミの弟のフリッツはルイーゼの子分、悪気はないけれど、まだまだお姉ちゃんに言いなりのやんちゃ坊主です。
ハツカネズミのお母さんが、みんなにクリスマスプレゼントを渡そうと、ヒゲとしっぽのないくるみ割り人形を見せました。でもみんな気味悪がってもらおうとしません。ハツカネズミのお母さんが、それをクララに見せると、「私と同じお顔!」と大喜びして、くるみ割り人形を抱きしめました。妹たちはヒゲとしっぽのある可愛いお人形を、ルイーゼも美しいプレゼントを、フリッツもお気に入りのプレゼントをもらって大喜びしています。みんながはしゃいでいる中、クララが思わずくるみ割り人形にキスをすると不思議なことに魔法がかかったようにみんなが動かなくなりました。
でも、しばらくすると、いつもどおり。クララは一体何が起きたのかわからず、みんなに尋ねますが、みんなは全く気がついていません。パーティは楽しくダンスをしたりして続ていきました。
みんながダンスを楽しんでいると、わがままなルイーゼが自分が一番偉いんだから、パーティは自分が仕切るとばかりに妹たちを座らせゲームをはじめます。誰の踊りが一番上手いか決めましょう。上手だと思ったらたくさん拍手をするようにと言いだしました。フリッツの踊り、クララの踊り、ルイーゼの踊りが続きます。・・・ところがルイーゼは踊りの途中、意地悪を思いつき、クララのくるみ割り人形を取り上げようとしました。
クララとルイーゼとフリッツのもみ合いが始まってしまいました。兄弟喧嘩がだんだん激しくなるのを見て、優しいハツカネズミのお母さんが止めに入ります。「さあさあ、パーティはもうおしまい。寝る時間ですよ。」と。
<深夜の出来事>
みんなは、それぞれの寝室に戻っていきました。クララは意地悪された悲しみにくれ、くるみ割り人形を抱きしめながらリビングでうとうと寝てしまいました。
だんだん夜がふけていきます。
そこにドブネズミたちがやっています。深夜は嫌われ者のドブネズミたちの活躍の時間なのです。
クララが目を覚ますと、ドブネズミたちが襲ってきました。クララは思わずくるみ割り人形に「私を守ってください!」とお祈りをして、クリスマスツリーに向かって高々とくるみ割り人形を掲げました。その瞬間、ドブネズミたちのの動きが止まりました。そして、不思議なことにくるみ割り人形は大きなくるみ割り人形になってツリーの前に立っていました。
どこからか人形兵隊たちがやって来て、ドブネズミ達との戦いが始まりました。美しいドブネズミ女王が登場し、くるみ割り人形と戦います。
死闘の果、ドブネズミたちを全滅させることができましたが、大きなくるみ割り人形も大変な怪我をしてしまいました。
クララは私のせいだと思い、心から泣きました。
クララの涙がくるみ割り人形の上に落ちると、なんとくるみ割り人形は王子様に変身しました。
クララの優しさが傷を治してしまったのでしょうか?元気になった王子様はクララに感謝し、二人は一緒に踊ります。王子様は夢の国へクララを誘いました。
<夢の国>
クララは夢の国にやって来ました。
花咲き乱れる夢の国で花たちのワルツが繰り広げられています。
真夏のジェラートアイス、クレオパトラのオイル、ジャスミンティ、ウオッカとマトリョーシカ、ストロベリーショートケーキの妖精たちがクララに美しい踊りを見せてくれます。
最後に夢の国の女王金平糖のお姫様が王子様と踊ります。
クララは夢の国の美しさに酔いしれていました。
<目が覚めて>
クララは自分の部屋で寝ていました。
本当の母が、「あなたに会いたいとお客様がいらっしゃいました。」と、部屋で寝ているクララを起こしに来ました。
なんと、王子様そっくりな素敵な青年がクララを訪ねて来ていました・・・。
おしまい。